
⚫︎ はじめに
前回(リンク)からの続きになります。
本日は2回目の、講座内容『ペットロスの社会学』の内容紹介となります。
<第①回:本投稿>
⚫︎『早稲田大学エクステンションセンター』とは?
・受講例
⚫︎他大学の公開講座
・検索事例
⚫︎学びで得られる事(知識、経験、人脈、準備)
<第②回:次回投稿>
⚫︎講座内容『ペットロスの社会学』の内容紹介

実際の講義は以下の内容で行われました。
本日は各回のダイジェストをお伝えできればと思っております。
(※著作権侵害に当たらない程度に触れさせていただきます。)
第1回:ペットロスを知る
第2回:ペットロスに備える
第3回:ペットロスに向き合う
(※第2・3回は第1回の内容と重複する部分もあるため少なめの情報量となっておりますことご了承くださいませ)

⚫︎ 第1回:ペットロスを知る
初回は、「ペットロスを知る」手がかりとして喪失体験の先行研究について紹介がありました。
以下3点紹介致します。
- ペットロス研究とは?
- ペットロスの苦しみの本質は何か?
- 悲嘆に関する先行研究
1. ペットロス研究とは?
ペットロス研究には悲嘆研究の概念や手法(心理学、精神医学)が多く使われており、ペットロスの社会的支援を行うには、ペットロスに陥った方々が“どのような社会的状況にあるか”の詳細な把握が必要だそうです。
把握する方法として以下二つの視点が挙げられていました。
・ミクロ的な把握:飼い主をとりまく他者との関係性の分析。
・マクロ的な把握:日本社会の飼い主の特徴、ペットの特徴、ペットという存在の社会的意義の検討。
これらを把握するためには、社会学、人類学、哲学、倫理学、歴史等なども必要になる“深い分野”といえるそうです。
🍀 ペットロス研究とは、社会学、人類学、哲学、倫理学、歴史等なども必要になる“深い分野”

2. ペットロスの苦しみの本質は何か?
ペットロスが強い悲嘆をとなるのは、『対象関係』が失われるから。
『対象関係』とは、
・生育環境における養育者や人生で精神的受容を求める相手(配偶者、親友など)
かつ
・愛着の対象となりうる「意味ある他者」(親、上司、親友、配偶者等)との関係性
のことを指します。
無論、ペットも対象関係にある存在といえます。
(私見)
悲嘆研究は母子関係の研究から始まっていることもあり、ペットは家族同然だが、とりわけ母子関係に近い関係性であり、ペットロス研究に悲嘆研究の概念や手法が多く使われるのも理にかなっていると考えられますね。
🍀 ペットロスの苦しみの本質は、母子関係に近い対象関係を失うから。

3. 悲嘆に関する先行研究
(大変情報量が多い内容でしたので、一部は関連サイトのリンクを貼らせていただきます)
1. 段階論:悲嘆の回復に向けたプロセスを段階論として論じた研究の紹介
🍀 段階論は、悲嘆からの回復への道筋を示すことで、悲嘆の渦中にいる方もいずれ自分も元気になる時が来るのだと知り、現状の窮状を受け入れ易くなる考え方です。
- 5段階論(リンク先:MSDマニュアル)
- 4段階論(リンク先:悲嘆回復ワークショップ)
- 12段階論(リンク先:日本看護科学学会)

2. 悲嘆の物語論(ナラティブ・アプローチ)(ナラティブ=言葉、物語)
🍀 喪失の悲嘆をただ悲しいものから、新しい人生を作る、意味のあるものと捉え直すことで、元気になろうとする方法。
自己は物語によって作られていると考える。
だとすれば、何らかの生きづらさもまた、物語によって作られている事になる。
それならば、物語の転換によって苦痛や諸問題を緩和でききるのではないか?という考え方。

3. リアリティ構成論(⇔リアリティ分離)
🍀 リアリティ構成論とは、「リアリティ(実感)」とは一人一人の経験や知識から構成されるという考え方。グリーフワーク(喪の作業)が足りないと長く深い複雑な悲嘆になる。その理由に関する研究手法のひとつ。
ペットロスでグリーフワークが難しくなる状況について以下3点が挙げられます。
- 公認されない悲嘆:人間の家族ではないことから、その喪失による悲嘆を公認されにくい。
- 曖昧な喪失:災害などで生死が分からないまま別離状態が続く。何らかの理由で死別・生別せざるを得なかった。など、判然としない状態のまま、グリーフワークが出来ない状態。
- 周囲に理解されない:1. 2. どちらも周囲に理解されにくいことが、辛さを悪化させる状態。
この『理解されにくい』が生じる理由として、リアリティ(実感)が自己と他者で分離しているから=リアリティ分離しているが故に相互理解が難しくなる。
(私見)
特にペットロスの場合、ペット飼育の有無(ペット=家族と理解してもらえない)、ペットの種別(動物種による情緒の違いを引き合いする等)など、状況が多岐に渡るので「理解してもらえない」という状況に陥りやすいと考えられる。
明確な解決策はないかもしれませんが、「違い」を受け入れ、寄り添い・理解を深める気持ちが肝要と思われます。

4. 故人と継続する絆
🍀 喪失研究では、長らく「忘れる事で立ち直るべき」と考えられていた。現在では、『継続する絆理論』(生者は死者と内心で交流を続ける)が主流となっている。
実証研究はまだ始まったばかりで、どのような絆が適応を促すか?絆はどのように変容するか?宗教や文化などの影響は?など検討されているそうです。

第2回:ペットロスに備える
第2回の講義内容からは主に以下3点紹介致します。
- ペットの喪失と対処のヒント10ヶ条
- 予防法
- 生前から備えること

1. ペットの喪失と対処のヒント10ヶ条
こちらは情報量が多くございますので、関連リンクを記載いたします。
https://www.pet-loss.net/
(Copyright © 2025 by Moira Anderson Allen. All rights reserved.)
英文サイトですが10ヶ条のタイトルのみ以下に紹介させていただきます。
- つらすぎておかしくなってしまうかも?
→喪失による激しい悲しみは、正常で自然なこと。 - どんな気持ちになる?
→悲嘆は、人により様々。 - この気持ち、どうすれば?
→詩や物語を書いたり、ペットへの手紙を書く。 - 誰と話せばよいか?
→ペットを可愛がってくれた家族や友人なら、あなたの辛さを理解してくれる。 - 苦しむペット、安楽死させるべき?
→ペットの日常を最も理解しているのは飼い主。ペットの苦しみを冷静に見極めて。 - 安楽死に立ち会うべき?
→要望や懸念は獣医師と話し合って。 - 亡くなったあと、何をすべき?
→いざという時に悲しみの中で急いで選ぶより、事前に計画を立てておく。 - 子どもにどう伝えればよい?
→お子さんの理解度に応じて嘘をつかず、正直な対応が大事です。 - 他のペットは悲しむ?
→仲間がいなくなったことに気づき、悲しむように見えることもある。 - すぐに次のペットを飼うべき?
→喪失の悲嘆を乗り越える時間が必要。「代わり」を求めてはいけない。

2. 予防法
備えあっても憂いは尽きないが、備える方法はある。
- 情報やアイテムを入手して備える方法
- 自分心や環境を整える方法
・仲間とつながる:WEB(SNS)で同種の飼い主さんの発信情報を読む、交流する
・知識を増やす:本、雑誌、論文を読む。講義・セミナーに参加する。
・経験者の話を聞く:ペットとの死別、人との死別。
・擬似体験:自分の場合は?と想像し、体験談や映画などに感情移入し擬似体験する。

3. 生前から備えられること
- 思い出を残せるように、日々準備する。
・アルバムを作れるように写真を沢山撮る。
(私見:日常のありふれた姿を残しておきたいですね。日常のささやかな時間が本当は愛しいのに、日常すぎて薄れがちになりますよね。) - ペットの抜け毛(ヒゲ)を残しておく。
(私見:われわれもいずれ旅たちの時が来ます。その時、何も“物”を持っていくことはできません。持っていけるとすれば、記憶や思い出だけではなないでしょうか?“物”より“気持ち、想い”を増やして行きたいなと思います。) - 納得できる看取りが出来るよう考える、話し合う。
・介護が必要なときどうするか?(老犬ホーム、都市型老犬老猫ホームなどを探す)
・緊急時、往診可能な獣医師・病院があるか情報収集しておく。
・不治で末期の状態、ペットが苦しい時、安楽死はどうするか? - 思い出を話せる人、話を聞いてくれる人と知り合う。
・生前のペットを知っている人(家族、親類、友人、ペット仲間、お散歩友達等)
・研究協力することで、これからのペットロス経験者に参考にしてもらう。
・当事者会や自助で経営するセルフヘルプグループなどを開拓して、探しておく。
(参考:Pet Lovers Meeting) - 自分や家族が飼いきれなくなった時の預け先を考える(生別のシミュレーション)。

第3回:ペットロスに向き合う
第3回講義からは、葬儀のあと、ぽっかり空いた穴を埋めてく方法についてご紹介致します。
1. 認識を補う方法
- 物語化
・参考書籍『我慢して生きるほど人生は長くない』
・これまでの人生で起きたことに対し、自分なりの解釈をつけてゆく =「自分の物語化」
(私見:第1回講義内で取り上げられていた「ナラティブ・アプローチ」に似ていますね。) - 運命論
・“運命論”とは
https://kotobank.jp/word/%E9%81%8B%E5%91%BD%E8%AB%96-442760
(↑コトバンクより引用↓)
世界の全て事柄は運命によってあらかじめ定められており、人間の意思や努力では全く変更できないとする人生観。

2. 物理的に補う方法
- 代わりになる他のものを見つける
例:抜け毛でアート(あみぐるみ、羊毛フェルトでそっくりなお人形をつくる)
→そのために全方向の写真をとっておく。 - 他のペット
・ただし、“代わり”にするのはダメ
・新たに別のペットを迎え入れる。ただし、比較はしない。
・迎えた個体を尊重する。
・別の名前を付ける。別の種を飼うなど。
・高齢の飼い主様の場合は、生活のリズムを整えるために早めに迎えるのも良い。

3. 思い出で埋める方法
・日記を読み返す
・写真を整理して、厳選アルバムを作る
・家族と思い出して話をする
・ペットへ手紙を書く
・ペットとの出会いからの物語を作る
・ペットの生前のエピソードを集める

4. 役割を補う方法
・空いた時間に何か新たなことを始める
・どんなことをすればペットが喜ぶか考える
・ペットロスの経験を活かして何かできることはないか考える。
・ペットロスの経験を分かち合う。
・他の方のペットロスを傾聴する。
・他の方がいつでも助けを求められる場をつくる。

おわりに
所々、私見も加えながらご紹介させていただきましたが、情報ボリュウムが大きくお疲れになったかもしれませんね。実際の講義はもっと盛りだくさんで、3回の講義では足らないくらいの内容でした。
ペットロスは感情的な側面が大きいが故に、個人の問題のように捉えられ、場合によっては他の方から理解されないように感じることもあるかもしれませんが、今回ご紹介したように学術的研究もされている心理状態であり、その研究を深めるには社会学等多岐にわたる学術分野の連携が必要になります。このようにペットロスの方々を支援するための研究が日夜進んで来ることを知っていただきたくご紹介させていただきました。
ペットロスの方々を支えたい方達との情報交換にもなりますが、ペットロスに陥り辛い状況にある方々にも、理解者は沢山いらっしゃると知っていただきたいと願っております。
実際に講師から直接講義いただくことで、より生きた情報が得られると思いますので、このような機会がございましたら、ぜひ受講してみてください。
いつか、どなたかに、この情報が役立つことを願っております。

